Windows 11でインターネットに繋がらない、遅い、特定のサイトが開けないといったネットワークの問題が発生したとき、手動で設定を変更する前に、コマンドを使って原因を特定し、効率的に対処することができます。
コマンドプロンプト(CMD)やWindows PowerShellを活用すれば、トラブルの切り分けが素早くでき、問題解決までの時間を短縮できます。
本記事では、ネットワークトラブルを診断・修正するための主要なコマンドを詳しく解説します。
1. ネットワークの基本情報を確認するコマンド
ネットワークトラブルの原因を特定するには、まず現在の接続状態を把握することが重要です。
1-1. IPアドレスの確認
ネットワークアダプターが適切なIPアドレスを取得しているか確認するために、次のコマンドを実行します。
ipconfig /all
このコマンドを実行すると、すべてのネットワークアダプターの詳細な情報が表示されます。
重要な項目は以下の通りです。
- IPv4アドレス:適切なIPアドレス(例:192.168.1.100)が割り当てられているか
- デフォルトゲートウェイ:ルーターのIPアドレス(例:192.168.1.1)が表示されているか
- DNSサーバー:正しいDNSサーバーが設定されているか
問題がある場合の対処法
- IPアドレスが「169.254.xxx.xxx」のようなAPIPAアドレス(Automatic Private IP Addressingの略でDHCPサーバーからIPアドレスを取得できない場合に、ネットワーク機器が自動的に自分自身に割り当てるIPアドレスのこと)になっている場合は、DHCPサーバー(ルーター)から正しくIPアドレスを取得できていない可能性があるため、ルーターの再起動を試す。
- デフォルトゲートウェイが空欄の場合は、手動でIPアドレスを設定することを検討する。
2. ネットワーク接続を診断するコマンド
2-1. ネットワークに接続されているか確認
現在のネットワーク接続状況を確認するために、次のコマンドを使用します。
ping 8.8.8.8
GoogleのパブリックDNS(8.8.8.8)に対してPINGを送信し、応答があるか確認します。
結果の見方
- 応答がある場合:「Reply from 8.8.8.8: bytes=32 time=XXms TTL=XX」と表示され、ネットワーク接続は問題なし。
- 応答がない場合:「Request timed out.」と表示され、インターネット接続に問題がある可能性がある。
対処法
- ルーターやモデムを再起動する。
- 有線接続の場合はLANケーブルを抜き差ししてみる。
3. ルーターやDNSの問題を切り分けるコマンド
3-1. ルーターに接続できるか確認
次のコマンドで、デフォルトゲートウェイ(ルーター)への接続を確認します。
ping 192.168.1.1
結果の見方
- 応答がある → ルーターとの通信は正常。
- 応答がない → ルーターの設定やWi-Fi接続に問題がある可能性。
対処法
- ルーターの電源を入れ直す。
- ルーターの管理画面にアクセスし、設定を確認する。
3-2. DNSの問題を確認
特定のウェブサイトにアクセスできない場合は、DNSの問題が考えられます。
以下のコマンドを試してみましょう。
nslookup www.google.com
結果の見方
- 正常な場合:IPアドレスが表示される。
- 異常な場合:「Non-existent domain」や「Request timed out」と表示される。
対処法
- DNSキャッシュをクリアする(後述の
ipconfig /flushdns
を参照)。 - GoogleのDNS(8.8.8.8)やCloudflareのDNS(1.1.1.1)に変更する。
4. IPアドレスとDNSをリセットするコマンド
ネットワーク設定が破損している可能性がある場合、以下のコマンドでIPアドレスとDNSをリセットできます。
4-1. IPアドレスの更新
ipconfig /release
ipconfig /renew
これにより、現在のIPアドレスを解放し、新しいIPアドレスを取得できます。
4-2. DNSキャッシュのクリア
ipconfig /flushdns
これにより、古いDNS情報がクリアされ、正しいDNSサーバーから新しい情報を取得できます。
5. ネットワーク設定をリセットするコマンド
すべての設定を初期化して再構成するには、次のコマンドを使用します。
netsh int ip reset
netsh winsock reset
このコマンドを実行すると、Windowsのネットワーク設定がリセットされ、トラブルの解決につながることがあります。
6. 詳細なネットワーク診断を行うコマンド
6-1. ルートトレースで遅延の原因を探る
インターネットの速度が遅い場合、どこで遅延が発生しているかを調べるには、tracert
コマンドを使います。
tracert 8.8.8.8
これにより、データがどのルートを通って目的地に到達するかを確認できます。
遅延のあるポイントが特定できれば、プロバイダー側の問題か、自宅のネットワークの問題かを判断できます。
まとめ
Windows 11でネットワークの問題が発生したとき、コマンドプロンプトを使うことで素早く原因を特定し、適切な対処が可能になります。
基本的な流れ
- ネットワークの基本情報を確認(
ipconfig /all
) - インターネット接続をテスト(
ping 8.8.8.8
) - ルーターとの接続を確認(
ping 192.168.1.1
) - DNSの問題をチェック(
nslookup www.google.com
) - IPアドレスとDNSをリセット(
ipconfig /release
→ipconfig /renew
→ipconfig /flushdns
) - ネットワーク設定をリセット(
netsh int ip reset
→netsh winsock reset
) - 詳細なネットワーク診断(
tracert 8.8.8.8
で遅延の原因を調査)
追加のトラブルシューティング
上記のコマンドを試しても問題が解決しない場合、以下の追加手順を実行すると改善する可能性があります。
7. Windowsのネットワーク診断ツールを使用
Windowsには、ネットワークの問題を自動で診断・修正するツールがあります。
実行方法
- 「スタート」ボタンを右クリックし、「設定」を開く
- 「ネットワークとインターネット」→「状態」を選択
- 「トラブルシューティングツール」をクリック
このツールが問題を特定し、自動で修正できることもあります。
8. ファイアウォールやセキュリティソフトの影響を確認
Windows Defenderのファイアウォールや、他のセキュリティソフトが通信をブロックしている可能性もあります。
一時的に無効化して、ネットワーク接続が回復するか確認してください。
Windows Defenderを一時的に無効化する方法
- 「設定」→「プライバシーとセキュリティ」→「Windows セキュリティ」
- 「ファイアウォールとネットワーク保護」を選択
- 「アクティブなネットワーク」のファイアウォールを一時的にオフにする
問題が解決しない場合の最終手段
上記の手順を試しても問題が解決しない場合、以下の対処を検討してください。
9. ネットワークアダプターの再インストール
ドライバーが破損している場合、再インストールすると改善することがあります。
実行手順
- 「スタート」ボタンを右クリックし、「デバイスマネージャー」を開く
- 「ネットワークアダプター」を展開し、使用しているアダプターを右クリック
- 「デバイスをアンインストール」→「PCを再起動」
再起動後、自動的にドライバーが再インストールされます。
10. システムの復元を試す
最近のWindows Updateや設定変更が原因でネットワークが使えなくなった場合、システムの復元を試すのも一つの方法です。
実行手順
- 「設定」→「システム」→「回復」
- 「PCの復元」を選択し、トラブルが発生する前の復元ポイントを選択
まとめ:コマンドを活用して素早くネットワークを復旧しよう!
Windows 11でネットワークの問題が発生した場合、コマンドプロンプトを使うことで迅速なトラブルシューティングが可能です。
本記事で紹介したコマンドを活用し、問題を的確に切り分けましょう。
基本的なチェック項目
ipconfig /all
でネットワーク情報を確認ping
コマンドで接続状態をテストnslookup
でDNSの問題を特定ipconfig /flushdns
でDNSキャッシュをクリアnetsh int ip reset
&netsh winsock reset
で設定をリセットtracert
で遅延の原因を調査
これらの手順を順番に試せば、ほとんどのネットワークトラブルは解決できます。
それでも改善しない場合は、ルーターやプロバイダーに問題がある可能性が高いため、サポートに問い合わせることをおすすめします。
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