ネットワーク間で大容量ファイルを最速でコピーする方法

Windows
記事内に広告が含まれています。

企業や個人において、複数のPCやサーバ間で大容量ファイルを移動するシーンは非常に多くなっています。
特に動画や設計データ、仮想マシンのイメージファイルのように、1ファイルで数GB〜数十GBを超えるようなケースでは、単なるドラッグ&ドロップでは効率が悪く、場合によっては数時間を要することもあります。

では、どうすれば「最も早く」ネットワーク間で大容量ファイルをコピーできるのか? 
本記事ではその実践的な方法と具体的なコマンド・ツールを解説します。


ネットワーク速度だけじゃない!ボトルネックの正体

「回線速度が速ければコピーも速いはず」と思いがちですが、実際には多くの要素が影響します。

  1. ネットワーク帯域(LAN/WAN)
  2. HDD/SSDの読み書き速度
  3. 使用するプロトコルやコピーソフト
  4. ファイルの種類(多数の小ファイル vs. 単体大ファイル)
  5. 転送中のセキュリティソフトによるスキャン処理

たとえば、10GbpsのLAN環境でも、HDDがボトルネックになってしまえば、実測で1Gbpsすら出ないこともあります。

また、小さなファイルを大量に転送する場合、ファイルの「作成→書き込み→閉じる」の繰り返しでCPU負荷が増え、ネットワーク帯域を十分に使えないケースが頻発します。


Windows環境での高速コピーの定番「Robocopy」

Windowsに標準搭載されている robocopy は、高速で信頼性の高いファイルコピーを実現します。特に以下のオプションを組み合わせることで、マルチスレッドによる並列コピーが可能になります。

実用コマンド例

robocopy \\\\source\\share \\\\destination\\share /MIR /MT:16 /R:1 /W:2 /LOG:copy.log

  • /MIR:ミラーコピー(差分コピー)
  • /MT:16:16スレッドで並列転送(最大128)
  • /R:1:リトライ回数
  • /W:2:リトライ間隔(秒)

効果的な使い方

  • 小ファイルが多数ある場合、/MT を指定するだけで3倍以上速くなることも
  • バッチ化して定期的なバックアップにも活用可能
  • 転送ログを記録し、後からエラー確認もできる

GUI派におすすめ「FastCopy」

FastCopyは、Windows向けの高性能ファイルコピーソフトで、
この分野で長年愛されてきたオープンソースのソフトウェアです。
無料で使用できます。
NTFS MFTを直接参照することで、OSのコピー処理よりも効率良くデータを処理します。

FastCopyの特長

  • ファイルI/Oを最適化し、CPU使用率を抑制
  • ネットワークドライブも対象にでき、転送速度が非常に安定
  • コマンドライン引数も対応し、自動化も可能

使用例(GUIから)

  • コピー元とコピー先を指定
  • モードを「差分(サイズ・日付)」や「同期」に設定
  • 「実行」で高速転送開始

実際に、1,000個以上のファイルを1分以内で転送できたという検証結果もあります。


有線LANの最適化で10倍速を狙う

無線LAN(Wi‑Fi)は利便性に優れていますが、大容量ファイルの転送では圧倒的に不利です。
速度が不安定になりやすく、遅延の影響も大きいため、コピー時間が大幅に延びることがあります。

推奨されるネットワーク環境

項目推奨構成
ケーブルCat6以上(10Gbps対応)
スイッチングハブ10GbE対応 or QoS設定あり
NIC(LANカード)1Gbps以上、10GbEならなお良し

実測例

  • Wi‑Fi:100〜300Mbps(理論値9.6Gbpsでも)
  • 有線(Cat6):900Mbps〜1.2Gbps(SSD使用時)
  • 10Gbps構成:実測4〜6Gbps超えも可能(RAID/SSD環境)

分割+並列コピーの技術的アプローチ

ファイルが非常に大きく、転送中に切断のリスクがある場合、ファイルを分割してから送信→先方で再結合する方法が有効です。
7-Zipを使用するとコマンドでこれを実行することが出来ます。

Windowsでの例(7-Zip使用)

1. 7-Zipで1GBごとに分割圧縮

7z a -v1g backup.7z source_folder\\

2.転送後、再結合して展開

7z x backup.7z.001

この方法は特にリモート(VPN経由やクラウド越し)でのファイル転送に向いています。


自動化とトラブル対策も重要

毎日バックアップしたいケースや、転送に時間がかかる場合には自動化が不可欠です。

バッチスクリプト例

@echo off
robocopy D:\\DATA \\\\192.168.1.100\\BACKUP /MIR /MT:8 /LOG+:daily.log
exit
  • タスクスケジューラに登録すれば毎日定時に実行可能
  • ログに/LOG+で追記保存し、成功/失敗を後で確認

トラブルの傾向と対策

  • コピー中に失敗する:ネットワークの省電力設定を見直す
  • 転送が極端に遅い:ウイルス対策ソフトが影響している場合も。コピー対象から除外設定を

おわりに:最速転送のための5つの要点

  1. ファイル数を減らす(圧縮やアーカイブ化)
  2. 有線LAN&SSDでI/Oと帯域を確保
  3. RobocopyやFastCopyで並列転送を活用
  4. 分割+再結合で安定性をアップ
  5. 自動化&エラー監視で手間とミスを削減

これらを実践すれば、10GB超えのファイルも数分でコピーできる環境を実現できます。
単なるファイルコピーでも「仕組み」を工夫すれば、時間と労力を大きく削減できるのです。

コメント

タイトルとURLをコピーしました