Windows PE(Preinstallation Environment)は、Windows OSの軽量版で、主にシステムの復旧、展開、メンテナンス、アップグレードのために使用されます。
この環境は、ハードウェアに依存しない方法でWindows OSをインストールするためのプラットフォームを提供します。
Windows PEとは?
Windows PEは、カスタマイズ可能な最小限のWindowsオペレーティングシステムで、主にシステム管理者やITプロフェッショナルが使用します。
この環境は、トラブルシューティング、復旧、システムのセットアップに非常に役立ちます。
Windows PE起動時に実行されるのはstartnet.cmd
Windows PEを起動すると、startnet.cmd
というバッチファイルが自動的に実行されます。
このファイルは、Windows PEセッションの開始時にカスタムスクリプトやアプリケーションを実行するために使用されます。
startnet.cmdの場所
startnet.cmd
は、Windows PEイメージ内のSystem32
ディレクトリにあります。
正確なパスは、X:\windows\system32\startnet.cmd
です(ここでX:
はWindows PEが起動した仮想ドライブを指します)。
startnet.cmdを編集してWindows PE起動時に任意のプログラムを起動する方法
startnet.cmd
を編集するには、テキストエディタを使用して開き、必要なコマンドを追加または変更します。
例えば、特定のプログラムを起動するには、次のように記述します:
@echo off
REM ここにカスタムコマンドを追加
start "" "C:\program.exe"
下記を起動したいプログラムのファイル名に変更します。
“C:\program.exe”
Windows PE起動時に自動的にWIMイメージを適用する
バッチファイルのサンプル
以下は、Windows PE起動時に自動的にWIMイメージを適用するバッチファイルのサンプルです。
このバッチファイルはStartnet.cmd
に追加するコマンドを含んでおり、Windows PEが起動すると実行されます。
@echo off
wpeinit
rem == 電源プランを高パフォーマンスに設定 ==
powercfg /s 8c5e7fda-e8bf-4a96-9a85-a6e23a8c635c
rem == DiskPartスクリプトを実行 ==
diskpart /s X:\diskpartscript.txt
rem == WIMイメージを適用 ==
dism /Apply-Image /ImageFile:E:\path\to\your\install.wim /Index:1 /ApplyDir:C:\
rem == BCDブートファイルを設定 ==
bcdboot C:\Windows /l ja-jp /s X:
exit
DiskPartスクリプトのサンプル
上記バッチファイル内のdiskpart /s X:\diskpartscript.txt
の部分で指定しているDiskPartスクリプトのサンプルです。
ディスクをクリアし、GPTに変換し、Windows 11用のパーティションを作成し、フォーマットしています。
select disk 0
clean
convert gpt
rem == EFIパーティション ==
create partition efi size=100
format quick fs=fat32 label="System"
assign letter=S
rem == MSRパーティション ==
create partition msr size=16
rem == Windowsパーティション ==
create partition primary
format quick fs=ntfs label="Windows"
assign letter=W
rem == 復旧パーティション ==
create partition primary
format quick fs=ntfs label="Recovery"
set id="de94bba4-06d1-4d40-a16a-bfd50179d6ac" gpt attributes=0x8000000000000001
list volume
exit
このスクリプトは、ディスク0を選択し、すべてのデータを消去した後、GPTパーティションスタイルに変換します。その後、EFI、MSR、Windows、および復旧パーティションを作成し、適切にフォーマットします。
これらのスクリプトは、特定の環境や要件に応じてカスタマイズする必要があります。
また、実行前には、適用されるWIMイメージのパスやディスクの状態を確認し、必要に応じてスクリプトを調整してください。
バッチファイルとDiskPartスクリプトを使用することで、Windows PEを起動すると自動的にシステムイメージを適用し、ディスクを準備するプロセスを効率化できます。
これにより、システム展開の時間を短縮し、一貫性のあるセットアップを実現することが可能です。
参考になる情報や詳細な手順については、以下のリンクを参照してください。
これらのリソースは、Windows PEとWIMイメージの適用に関する包括的なガイドを提供しています。
Windows の製造と展開の概要
https://learn.microsoft.com/ja-jp/windows-hardware/manufacture/desktop/deployment-and-imaging-primer?view=windows-11
DISM を使用して Windows イメージを変更する
https://learn.microsoft.com/ja-jp/windows-hardware/manufacture/desktop/mount-and-modify-a-windows-image-using-dism?view=windows-11
バッチファイルとDiskPartスクリプトの作成は、システム管理者やITプロフェッショナルにとって重要なスキルです。
これらのツールを適切に使用することで、Windowsの展開と管理がより簡単かつ効率的になります。
常に最新のベストプラクティスとセキュリティ基準を遵守することを忘れないでください。
編集したstartnet.cmdをWindows PEに入れる方法
Windows PEイメージをマウントする
まず、DISM(Deployment Image Servicing and Management)ツールを使用して、Windows PEイメージをマウントします。コマンドプロンプトを管理者として開き、以下のコマンドを実行します:
dism /Mount-Image /ImageFile:"C:\WinPE\Install.wim" /index:1 /MountDir:"C:\mount"
下記は自分の環境に合わせて書き換えます。
Windows PEイメージファイルの場所
/ImageFile:”C:\WinPE\Install.wim”
マウント先のパス
/MountDir:”C:\mount”
イメージを変更する
マウントしたイメージ内でstartnet.cmd
を編集し、変更を保存します。
イメージへの変更をコミットしてマウント解除する
変更をイメージに適用し、マウントを解除するには、以下のコマンドを使用します:
dism /Unmount-Image /MountDir:"C:\mount" /Commit
下記は自分の環境に合わせて書き換えます。
マウント先のパス
/MountDir:”C:\mount”
注意
- 編集する前に、元の
startnet.cmd
のバックアップを取っておくことをお勧めします。 - Windows PEイメージは、変更を加える前に必ずマウントする必要があります。
まとめ
Windows PEは、システムの復旧やセットアップに非常に便利なツールです。startnet.cmd
を編集することで、Windows PE起動時に特定のプログラムやスクリプトを自動的に実行させることができます。
この記事が、バッチファイルの作成と編集の基本を理解し、Windows PEをより効果的に使用する手助けになれば幸いです。
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OSのバージョンやリリースによっては、記載されているコマンドが実行できない、または異なる結果をもたらす可能性があります。
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最後までお読みいただきありがとうございました。
またお会いしましょう!
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