はじめに
社内のパソコン管理を、オンプレミスのActive Directory(AD)だけでおこなっていませんか?
テレワークが当たり前になり、社員が自宅で仕事をするようになると、
社内ネットワークに接続していないパソコンへ、
新しい設定やセキュリティポリシー(GPO)を適用するのが難しくなります。
私も以前、出社制限がかかった時期に、
自宅にあるパソコンのセキュリティ設定が更新できず、
対応のために急遽VPNの設定変更に追われるという苦い経験をしました。
そこでこの記事では、オンプレADからクラウド管理の「Microsoft Intune」へ、
安全に移行するための具体的な手順と注意点を解説します。
この記事を読めば、既存のGPOをIntuneへスムーズに移行するやり方と、
ユーザーの業務を止めない現実的なロードマップが理解できます。
場所を問わないモダンなデバイス管理体制を、一歩ずつ作っていましょう。
なぜ今、オンプレADからIntuneへの移行が進むのか?
これまでのパソコン管理は、社内ネットワークの内側にPCがあることを前提としていました。
しかし、働き方の多様化によって、従来の管理方法には限界が見え始めています。
主な要因は以下のとおりです。
- 自宅やサテライトオフィスなど、社外で稼働するパソコンの増加
- VPN接続時しかGPOやパッチの更新が適用されない運用上のボトルネック
- 社外からの直接クラウドサービス利用に伴う、境界型防御の崩壊
オンプレADは、社内にあるPCの管理には非常に強力でした。
しかし、現在のテレワーク環境では、クラウドから直接ポリシーを適用できる、
Intuneのようなモバイルデバイス管理(MDM)への移行が必要不可欠となっています。
GPOをIntuneへ移行する際の3つの障壁と対策
いざADのGPOをIntuneへ移行しようとすると、いくつかの壁にぶつかります。
現場で特によくある問題と、その解決方法を紹介します。
- 移行したいGPOポリシーが、Intuneの標準ポリシーに存在しないこと
- 社員への周知や切り替えタイミングの調整が難しく、接続トラブルが起きること
- 古いレガシーな設定が多く、どの設定が現在も必要か把握できていないこと
これらの問題をクリアするために、以下の対策を実施します。
移行分析ツール(Group Policy analytics)の活用
Microsoftは、既存のGPOを分析してIntuneに移行できるかを判定する、
「Group Policy analytics」というツールを提供しています。
使い方は以下のとおりです。
- オンプレのドメインコントローラーでグループポリシー管理エディターを開きます。
- 移行したいGPOを右クリックし、「レポートの保存」からXML形式でエクスポートします。
- Microsoft Intune管理センターにログインし、「デバイス」>「グループポリシーの分析」へ進みます。
- エクスポートしたXMLファイルをインポートします。
インポートが完了すると、そのGPOのなかのどの設定がIntuneでサポートされているか、
サポート率がパーセンテージで表示されます。
移行できない設定については、代替の構成プロファイルを使用するか、
レジストリ設定を配布するPowerShellスクリプトをIntuneから実行するなどの対策をとります。
ハイブリッドEntra参加の検討
いきなり完全なクラウド管理に移行するのが難しい場合は、
オンプレADとEntra IDの両方にデバイスを参加させる「ハイブリッド参加」を経由します。
これにより、既存のADドメインの権限を残したまま、
Intuneからのクラウド管理も並行しておこなうことが可能になります。
失敗しないIntune移行ロードマップ(4つのステップ)
段階を踏んで安全に移行を進めるための、4つのステップをまとめました。
| ステップ | 実施内容 | 目的 |
|---|---|---|
| 1. 現状分析 | GPOの整理とGroup Policy analyticsによる分析 | 不要な古いポリシーを廃止し、移行対象を絞り込みます |
| 2. パイロット展開 | 情シス部門や一部のテストユーザーにポリシーを適用 | 予期しない不具合や競合が発生しないか確認します |
| 3. 本番展開 | 部門ごとに順次、対象ユーザーを拡大して適用 | ヘルプデスクのサポート体制を整えながら展開します |
| 4. クリーンアップ | オンプレAD側の不要なGPOの無効化 | 二重適用による混乱を防ぎ、オンプレ側を整理します |
移行プロジェクトを進める際は、一度にすべてのPCを切り替えるのではなく、
必ずこの表に示したステップに沿って、小さなグループから段階的に実施してください。
特にステップ2のパイロット展開では、主要な業務アプリが正常に動作するか、
徹底的にテストすることがプロジェクト成功の鍵となります。
まとめ
オンプレADからIntuneへの移行について解説しました。
今回の重要なポイントは以下の3点です。
- テレワーク環境に対応するため、クラウドから直接管理できるIntuneへの移行が必要であること
- 移行時には「Group Policy analytics」を使い、既存GPOの対応状況を事前に数値化すること
- ハイブリッド環境を活用し、現状分析から本番展開までを4つのステップで段階的に進めること
インフラの移行は大きなプロジェクトですが、
一つずつのステップを丁寧に進めれば、安全にモダンな管理環境へシフトできます。
まずは、現在のGPOをXMLファイルにエクスポートするところから始めてみましょう。
免責規定
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また、会社所有のパソコン、スマホ、タブレットなどでは、ポリシーや権限によって実行できない場合があります。
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